■ 議論の素材提供 1.本臨時集会召集の経緯について 京都大学宙空電波科学研究センター 中村卓司氏 2.改称問題の客観的経緯について 京都大学名誉教授 荒木 徹氏 3.9月17日開催運営委員会における議論について 名古屋大学太陽地球環境研究所 塩川和夫氏 ■ フリーディスカッション 発言者(敬省略): 加藤進、小原隆博(通総研)、塩川和夫(名大)、丸山隆(通総研)、 中村卓司(京大)、品川裕之(名大)、村山泰啓(通総研)、 荒木徹、藤井良一(名大)、長妻努(通総研)、石井守(通総研) 加藤:変えるほうにも変えないほうにも問題がある。これまで4年かけている というが、学会は半世紀続いている。性急に決めるべきではない。 小原:私は宇宙という言葉を入れていただきたい1人としてお話する。まず、 学会の将来に危機感を抱いているのは確かだが、その危機感を利用して何かを しようという考えはない。大気の人々は、これだけ分野として発展してきて いるのに、これまでの学会名である「地球惑星圏」の「圏」としてあるだけで よいのかと問いたい。ぜひ、大気の人たちからも良い名前を提案していただき たい。私としては、「宇宙・超高層大気学会」とかでも良いのではないかと思う。 もちろん固体の人からの意見もあるだろうが。「宇宙」と言う言葉は、これが ない事でいろんな意味で危惧が感じられる。「宇宙」という言葉が入ることで 賛助会員もそうだが霞が関の中央官庁の目も引く事ができるのではないかと 考える。先ほどの塩川さんのサマリはよく状況を説明していたと思う。 塩川:運営委員会の方は議論を尽くされていて、大気のほうではどういう風に 考え、どういう名前なら良いかと考えて欲しいと言う印象を受けた。長さの 問題もあるが、個人的には、長くても全体を含むような名前ならいいと思う。 丸山:色々経緯を伺ってみると、想像で動いている部分がかなりあるという 印象を受けた。賛助会員が減った理由や大気の人たちが抜けた理由など、 本当に名前のせいかどうか分析をやらないといけない。想像だけで進めた ら、名前を変えても思うような結果は得られないのではないか。 加藤:今の意見に賛成。歴史を持っているものの将来を決めるのには、 もっと議論しても良い。そもそも学会名というものには、歴史があるから、 現在だけを見て、学会名が、すべての会員の興味をあらわしていないという ならば、一体、何が基本的アイデンティティを示す名称かが問題ではないか。 これに関して、宇宙という言葉を安易に入れる前に、十分考えて欲しい。 中村:何かを取り込むために名前を変えるのが本質だろうか。また、これは 公開されている理由には挙げられていない。宇宙環境学会等を取り込むため と言うのは動機が不純。この学会はサイエンスの学会であり、工学的なもの ではないと思う。サイエンスをやるならサイエンスの方向を決めるような名前と いう方向性で決めるべき。前回ポテンシャルミニマムで決めた名前を安易に 変えるべきではない。長くて間違えるというが、他の既存学会と間違えられる といった実害があるなら困った問題だが、言い間違えられるのは宣伝不足が 問題。学会名を間違えられて同じように何か実害が生じているのだろうか。 もう少し議論して、皆が納得できるような、高尚な理由で変えたい。 品川:学会規約に「学術ならびにその応用研究の進歩に寄与する」とあるので、 純粋サイエンスだけではないと言うことである。 村山:現状の改称案で進めることに疑問を感じるということで、中村さんの 結論に同意。応用や宇宙工学を取り込むこと・予算を取ることも重要だが、 この改称問題が、名前があらわすその団体の活動、他学会・一般社会との インターフェースを考え直すべきではないかという意味ならば、より重要な 問いかけであると思う。今の学会名が長いのは、ある意味学会活動(学問) の内容が整理されていないためにこうなっているように思える。磁気圏の方々が 学会の将来に危機感を持っているのは、大気の方でも同様な印象をもっている ので非常にうれしく思う。社会的な応用も含め、学問としてアクティブに 生き残るために、どういう道を歩むか、それを議論した上で名称を考えるのが 良いだろう。 加藤:宇宙と言う言葉を使うことに、宇宙研ができる時に天文学会として問題 があるとのコメントがあったことを憶えている。 小原:数で考える事が良いかどうか分からないが今の状況を示す例として挙げて おく。280の講演があるうちで固体地球の関連が45、大気が、線引きは難しい が80、残りの160は宇宙。この比率にも関わらず運営委員会の中に大気を アイデンティファイしていける人が少なかったのは問題であり、規約の改正により 今後は改善の方針。改称問題についても、議論が必要ならば、もう少し我慢して 時間を費やし、大気の人たちとも一緒に考えていけるような方向でいければよいと 思っている。 荒木:関連する問題として、学会の求心力が失われていると言う危機感がある。 改称問題も前提として求心力の問題がある。大気の分野から運営委員会に入って いないと言う問題が今あると感じておられていると思うが、前回の選挙時には大変 難しい判断であった。今、もう少し運営委員を増やす方向で検討している。評議員 の数も議論中。学会連合については、努力している。他の学会の人たちはあまり 熱心でないのが実体。 藤井:今の状況を見ると、この期で議論が完結するかわからない。来期まで持ち 越すとすれば充分議論を尽くしていく。進め方として学会がどういう方向を目指す かが重要な問題。最初からオフィシャルな形を作っていくのは難しいので、出来る ところからやっていくのが現実的。学会名については、学会の利益になるなら変える のは良いのではないか。但しその時、一部の人に利益があっても他の人が損をする ような事になるようでは良くない。 大気の方の意見を集約して頂いて、反映させていきたい。あまり無意味な議論 で消耗するような事は避けたい。 長妻:学会名称変更問題が俎上に上がって以来、現在の名前が素晴らしいのに なぜ替える必要があるのか、という議論はない。ということは、今の名前に対して 何らかの形で皆が不満を持っているか、納得がいっていないように思われる。 変える方向で考えていくという事については皆納得がいっているのではないか。 今の段階で議論の俎上に上がっているのは「宇宙地球電磁気学会」というのと、 「宇宙地球惑星圏学会」の2つだけだと私は理解している。それぞれの名前に ついてメリットデメリットの検討が行われている。議論を尽くす事には賛成だが、 4年近く時間があったのに、議論が盛り上がってきたのは、具体的な名称が出て きてからである。だとすると、核になるものが出てこないと議論を継続することは 難しい。今の案を批判するだけならいくらでも出来る。案を出して議論すべき。 また、大気以外の人たちは改称問題について積極的な議論をする場を持って いない。対案の方向性を絞り込んでいって話をするのが良い。 中村:心配なのは、この場に来ず声をあげない(が行動に出かねない)人の動きに どう対処するのかということ。運営委員会の提案名称を見て嫌気がさして黙り込んで いる人も少なくないのでは?改名を前提にして「良い名前の提案をできない人」の 意見を無視するのはどうか?今の学会名(地球電磁気・地球惑星圏学会)は分野を 総括した良い名前と思う。 石井:議論は尽くせぬところではあるが、時間の都合でここまでとする。今回出て きた意見は、公開非公開、また公開するなら匿名実名の希望等、発言者の意向を 踏まえた後、運営委員会に資料として提出したい。また問題なければHP上での公開も していきたい。 以上 |
このホームページについてのお問い合わせ先: 石井 守 (独立行政法人通信総合研究所)
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