2001 9 26 水曜日

SGEPSS分科会「中間圏・熱圏・電離圏研究会(略称:MTI研究会)」

設立の承認願い

 

設立発起人 (五十音順)

石井 守 (通信総合研究所)

塩川和夫 (名古屋大学太陽地球環境研究所)

中村卓司 (京都大学宙空電波科学研究センター)

                                                             野澤悟徳 (名古屋大学太陽地球環境研究所)

藤原 均 (東北大学大学院理学研究科)

 

1.設立の趣旨

 中間圏・熱圏・電離圏は、気象学的な中性流体としての大気とマクスウェル方程式の支配する電離大気が相互作用し複雑な様相を示しています。この領域での電離大気・中性大気相互作用、あるいは化学反応とダイナミクスとの関連等が近年非常に注目を集める研究分野となっています。

 この領域をターゲットとする研究者は気象学、地球電磁気学、電波工学、あるいは大気化学と様々なベースを持ち、また研究の手段も数値シミュレーション、大気大循環モデル、地上からの光学・電波観測、気球やロケットおよび人工衛星等の飛翔体観測と多岐にわたります。

 このように様々なバックグラウンドを持つ研究者が相互に交流し、協力しあう場を作り、より効率的で効果的な研究活動に繋げることがこの会の趣旨です。現在進行中のプロジェクトを更に発展させるとともに、萌芽的なプロジェクト・研究活動が育つ環境づくりに主眼を置き、多くの人が自由に参加できる会を目指します。

 

2.分科会の位置づけ

SGEPSSの研究分野では、太陽風磁気圏結合、磁気圏電離圏結合など、異なる領域間の相互作用をテーマにした分野が確立しています。中間圏・熱圏・電離圏においてはそれぞれの領域の研究に加えて、各領域間の相互作用についての議論が今まさに活発になろうとしています。この異領域間結合を議論する際の大きな特徴のひとつとして、中性大気が支配的な中間圏と電離大気の現象を主に取り上げる電離圏、あるいは光化学反応による熱が力学に及ぼす影響などの問題ではその基本的な物理を支配する方程式から大きく異なると言うことが挙げられます。この領域の研究では気象学・超高層物理学・大気化学など関連する専門家間の議論により、これまでになかった新しい視点が得られる可能性が高いと思われます。

また、中間圏・熱圏・電離圏観測の特徴のひとつに、複数の装置を用いた同時観測キャンペーンが頻繁に行われていると言うことが挙げられます。そのタイムスケールは様々であり、短いもので数日、長いものでは準備期間も含めて10年以上の年月をかけるものもあります。

これらの現状を考え、この分科会は全体で一つの方向付けすることを目標とするよりはむしろ、お互いの研究上の情報を交換し、新たにキャンペーンやプロジェクトを立ち上げるときの助けとなるような土壌を作ることを目的としています。様々な分野の研究者集団の中で新しい研究プロジェクトや観測キャンペーンを立ち上げたい研究者が同志を募り、分科会内でサブグループを形成するイメージを考えています。

 

3.基本的な活動

基本的な活動としては、現在以下の3つの活動を企画しています。

l         学会の際の会合

中間圏・熱圏・電離圏更にその周辺領域での物理・化学過程およびそれらの結合過程に関するあらゆる情報交換の場としたいと考えています。これは特に通常の学会セッションではあまり扱われることのない内容、例えば現在進行中のプロジェクトの紹介・あるいは新規に立ち上げを考えているプロジェクトへの参加呼びかけ、研究対象の提案、あるいは国内外の学会参加報告、などを念頭に置いています。

l         研究集会

大学・研究機関の研究集会との合同開催も視野に入れ、関連及び周辺分野間の情報交換を目的とした研究集会を開催/支援する事を計画しています。

l         メーリングリストによる交流

双方向の情報交換が手軽に行える手段として、メーリングリスト及びホームページなどのネットワーク環境を整備することを計画しています。

 

4.組織

(1)サブグループを実質的に運営する研究者が世話人となり、年間活動計画と必要な組織を決めます。更に世話人のうち一人が事務局として実務レベルの業務を行います。世話人は現状に合わせて適宜考慮します。

(2)分科会への参加はSGEPSS内外に呼びかけることとします。